食のオーケストラを多彩に
輝かせる指揮者として。
私が務める総料理長という仕事は、言わばオーケストラの指揮者のような存在です。メニューを考案するのはもちろんですが、冷たいもの、温かいもの、デザートといった各パート総勢約80名の力を引き出すことで、その完成度を高めていきます。長期クルーズの場合、寄港地は様々です。ゆえに料理も多彩なものを召し上がっていただきたく、現地の美味しい食材を可能な限り仕入れるよう心がけています。経験上、渡航先にある食材の見当がつく場合は事前に確保しますが、実際に市場に出向いて選ぶことも少なくありません。一方で、意図して和食を提供する日もあります。入港日はお客様が寄港地のツアーに行かれ、地域の料理を楽しまれるのが通例なので、飛鳥Ⅱへお帰りになった夜は和食でホッと寛いでいただきたいのです。そのため、クルーズの行程によってメニュー構成を変化させ、1ヶ月を超える長期クルーズの時には敢えて5~6割程度を和食にします。地球の裏側まで行っても本格的な和食を食べられるのは、飛鳥Ⅱならではの贅沢だと自負しています。