南シナ海を、香港に向けて航行している。昨夜は、最初のフォーマルナイト。タキシードや夜会服に身を包み、船長と一緒の写真をと撮るため長い列が続く。それが終わると、「正餐」「キャプテンズ・ウエルカムパーティ」と盛り沢山である。だが、これで終わりではない。 「尾藤イサオコンサート」が待っている。歌手尾藤イサオさんは、ロカビリー全盛時に鳴らした歌手。先ず、1960年代のアメリカンポップススタンダードナンバーで、前列に座った女性群を一気に若返らせてしまう。その上で、プレスリーのナンバーで、興奮の渦に巻きこむ。こんな芸当は、彼にしかできないだろう。
著者紹介 小泉 澄夫 1934年生まれ。写真家、日本写真芸術学会会員、世界遺産フォーラム主宰。 「日本人の心」をテーマに風景写真を30年以上撮り続けている。ここ15年は、ヨーロッパ・北米大陸・中国を中心に世界各地の世界遺産の写真撮影や、講演活動、執筆活動を行っている。本フォトエッセイの連載は「2008年オセアニア・グランド・クルーズ」以来の2回目となる。 ■著書 「世界遺産ビジュアルハンドブック」