サラーラは、古来、乳香の自生地、積出港として有名である。乳香は乳香の木から採取する樹脂のようなもの。香炉で焚いたり、服に焚きこめたりする。古代エジプトの王も珍重したという。金と同じ価値があったそうだ。 サラーラ郊外のアルバリード遺跡にも、乳香の木が自生している。その博物館の中庭には、立派な花壇を設け、移植してある。この地で、この木が、いかに大切にされてきたか、理解できる。
著者紹介 小泉 澄夫 1934年生まれ。写真家、日本写真芸術学会会員、世界遺産フォーラム主宰。 「日本人の心」をテーマに風景写真を30年以上撮り続けている。ここ15年は、ヨーロッパ・北米大陸・中国を中心に世界各地の世界遺産の写真撮影や、講演活動、執筆活動を行っている。本フォトエッセイの連載は「2008年オセアニア・グランド・クルーズ」以来の2回目となる。 ■著書 「世界遺産ビジュアルハンドブック」