美しい朝日が昇りはじめた午前6時過ぎにはすでに岸壁がそこにあり、飛鳥IIは係留作業を進めていたようでした。きょうはこのクルーズ唯一の中東、アラビア海に面したオマーンのサラーラ港への寄港です。首都マスカットなど北部沿岸はまだしも、乳香の産地として知られるサラーラを訪ねたことがある人は、よほどの旅好きでも少ないに違いありません。
まさに船でこそ行けるオマーン南部、このあたりはアラビア半島にしては珍しくモンスーンの恵みで雨が降り、緑豊かなところです。珍しい降雨を体験するために、わざわざ他の中東諸国からやって来る観光客もいるのだとか。「サラーラ半日観光」では、現国王が里帰りの際に使うアルフスン宮殿(写真上)や、世界遺産に含まれるアルバリード遺跡を訪ねました。
イスラム教の伝統と戒律をわりと厳格に守るこの国には、経済発展著しい他の中東諸国とは違う、特有の穏やかな空気が流れています。だから気づいた方も多いはず。街にいるのは男性ばかり。ちなみに彼らの民族衣装の首元にある房は、香水をつけておいて「埃っぽい砂漠や市場などで匂いが気になるときに鼻元へ持っていき、自分を守る」のだそうですよ。