今朝まだ陽がのぼるよりも早い午前4時に飛鳥IIは錨を巻き上げ、いよいよスエズ運河へと進み始めました。薄闇の中、左舷にモスクの尖塔を望みつつ運河の入口に取り付きます。5時18分、右舷真横から真っ赤な日の出。風景の色合いは刻々と変わり、徐々に一帯が荒涼とした砂漠であると、はっきりと分かるようになってきました。
途中にはリトルビター湖・グレートビター湖とふたつの湖が続きます。運河の眺めをほぼ理解した頃には、7デッキ前方から何やら賑やかな声が響いてきました。行ってみると、運河のボートマンがお土産屋さんに早がわりしてエジプトグッズを売っています。運河通航のみで上陸しないエジプトですから、確かにお土産を買うなら今がチャンスです。
飛鳥IIはきょうの北航船団の先頭となる第1船。あとにはコンテナを満載した貨物船などが続いています。途中、複線の区間では対向の南航船団の船がまるで砂漠の中を進むかのように見える場面もありました。運河中で唯一船がくぐる橋・ムバラク平和橋をくぐり抜け、午後2時半ごろ、ついに飛鳥IIは地中海へと抜けました。