寝ぼけ眼をこすりながらオープンデッキへ顔を出すと、飛鳥IIは夜明け前の静けさに包まれたヴィクトリア・ハーバーをゆっくりと航行中でした。香港島から漏れた街明かりが靄で覆われた空を怪しげに照らしていましたが、オーシャン・ターミナルに着岸する頃には闇は力を失い、周囲の景色は何事もなかったかのように平静を取り戻していました。
午前中は空を覆う雲はやや厚めでしたが、それでもツアーで訪れたヴィクトリア・ピークからは眼下にうっすらと飛鳥IIの姿を確認することができました。午後からは天気も回復し、太陽の光を浴びて香港の街並みも一段と活気に満ちた様子に。ターミナルからほど近い尖沙咀エリアを中心に、個人で散策やお買い物を楽しまれた方も多かったのではないでしょうか?
多くのお客様にとってのハイライトは出港の時であったかもしれません。節分にちなんだボン・ヴォヤージでプールサイドが笑顔に包まれた後、ゆっくりと離岸すると、まるで巨大な絵巻物でも見ているように香港の夜景が次々と私たちの眼前を流れていきました。やがてパーティーのほとぼりとともに街明かりは遠くに去りゆき、飛鳥IIはまた次の寄港地を目指し進みます。