マレーシア最古の都であり、15世紀初頭から香辛料貿易の東西中継港として栄えた港湾都市・マラッカ。陸から見ればマレー半島の南部にある地方都市ですが、海から見ればマラッカ海峡に面するいわば玄関口。その背景を知れば知るほど、この現代において航海史に名を刻んだそれぞれの土地をクルーズ船で訪れることが、格別に贅沢なことに思われます。
マラッカは錨泊となるため、上陸は地元の観光船を利用します。筆者は思わぬご褒美をもらったとばかりに、洋上に浮かぶ飛鳥IIの姿を、潮風たっぷり浴びながら目に焼き付けました。マラッカ上陸後も好奇心のままに、オランダ広場やセント・ポール教会の建つ丘など、世界遺産に登録された歴史的な街並みを存分に味わいました。
出港後には、南米パラグアイの民族楽器・アルパの日本人奏者トップデュオによるコンサートが催されました。美しさで有名なマラッカの夕日は雲に隠れてついに見ることは叶いませんでしたが、アルパ独特の透明感のある音色が、遥かマラッカ海峡の洋上で優しく響き渡りました。