南へ下る飛鳥IIの左舷側にあたるチリ沿岸は、地図で見ると、昨日あたりから険しいフィヨルド地形になってきました。無数の島々とフィヨルドからなるこの「チリ氷河」、実に2000kmに渡って続く壮大なスケールなのだそうです。きょう昼頃にはその内海へと舵を切り、切り立つ絶壁を両舷に望むようになりました。 19時30分には一帯で最も大きな「ピオ11世氷河」の入り江に到着。幅4.5km、氷壁の高さ80mという大氷河を目前に錨を降ろし、今宵はここに停泊です。屋外デッキやビスタラウンジに集まったたくさんのお客様は、氷河の大きさと氷の碧さにどなたも興奮気味。感嘆の声が方々から聞こえてきました。 今回のクルーズ特典のひとつでもある赤いオリジナルパルカを羽織った方が多く、デッキ上は色合いも賑やか。陸路では決してたどり着けない大氷河を居ながらにして望めるのも船旅だからこそでしょう。さて、ちょっぴり冷えた手先を温めに、12デッキの展望大浴場「グランドスパ」に行こうかな。
著者紹介 高橋 敦史 旅行媒体を主とするフリーランスの編集ディレクター・紀行作家・フォトグラファー。国内温泉旅行から海外のバックパッカー旅行、リゾート、豪華客船などまで経験豊富。写真雑誌『デジタル写真生活』元編集長であり、同誌ではディレクションから撮影・執筆も担当、平易な解説で支持を得る。現在では機内誌や旅行雑誌での海外ルポや編集長業を中心に活動し、温泉宿や旅先写真術、エッセイなどの連載も。また、クルーズ写真家として雑誌『Cruise Traveller』『クルーズ』などへ寄稿、ナショナルジオグラフィック単行本『世界の船旅』に写真提供。2014年世界一周クルーズより「飛鳥Ⅱ」の写真教室講師を務め、以後ロングクルーズに乗船している。 上智大学文学部新聞学科卒、1972 年東京都生まれ。