朝方にかけて小雪が舞い始め、日本の冬を待たずして夏の南半球に出掛けた私たちにも、今シーズン初めての冬らしい冬(?)がやってきました。窓外の雪まじりの濃い霧を見た客室係のジェーンさんが「ちっちゃな雪、スゴイですね。ペンギンもきっと寝てますね」なんて言っています。 サウスシェトランド諸島を抜けた頃には霧も晴れ、ついに飛鳥IIから南極大陸の一部、南極半島を望むことができました。大きな流氷が間近にやってくるたびにお客様は歓声をあげ、デッキに出て写真を撮ったりしています。流氷は白のなかに微かな碧を秘めた、美しい色をしています。 外気温はほぼ0度。けれども「意外に」と言うべきか、寒さは驚くほどではありません。皆さんひとしきり写真を撮ったあとは11デッキ前方のビスタラウンジやパームコートで暖かいコーヒーやお茶などを味わって、ゆったりと窓外に広がる南極の景色を楽しんでいらっしゃいました。
著者紹介 高橋 敦史 旅行媒体を主とするフリーランスの編集ディレクター・紀行作家・フォトグラファー。国内温泉旅行から海外のバックパッカー旅行、リゾート、豪華客船などまで経験豊富。写真雑誌『デジタル写真生活』元編集長であり、同誌ではディレクションから撮影・執筆も担当、平易な解説で支持を得る。現在では機内誌や旅行雑誌での海外ルポや編集長業を中心に活動し、温泉宿や旅先写真術、エッセイなどの連載も。また、クルーズ写真家として雑誌『Cruise Traveller』『クルーズ』などへ寄稿、ナショナルジオグラフィック単行本『世界の船旅』に写真提供。2014年世界一周クルーズより「飛鳥Ⅱ」の写真教室講師を務め、以後ロングクルーズに乗船している。 上智大学文学部新聞学科卒、1972 年東京都生まれ。