午前4時には陽が昇る夏の南極。早朝に目覚めて窓外を見ると、海は見事なまでの凪でした。島々と半島に抱かれた内海は鏡のように静まり返り、雪に覆われた南極半島が上下逆さまになって穏やかな海面に映っていました。そうです、きょうは皆さんが心待ちにしていた快晴の南極なのです。 青と白の絶景のなか、船は半島沿いに南西へ。ノイマイヤー海峡を右手に分かち、絶景のパラダイス湾へと進みます。「ただいま右舷前方にペンギンの群れが泳ぐ姿がご覧になれます」「左舷前方ではクジラが潮を……」「氷山の上にアザラシが……」。きょうはブリッジからの船内放送もとびきり多忙。 赤のパルカ姿で午後のプールデッキに集まったお客様の前では瀬木貴将さんがサンポーニャとケーナを吹き、つのだ☆ひろさんがドラムを叩いてくれました。さらにはクルーズスタッフの愉快な出し物もあってまさに盛りだくさん、大満足の1日でした。
著者紹介 高橋 敦史 旅行媒体を主とするフリーランスの編集ディレクター・紀行作家・フォトグラファー。国内温泉旅行から海外のバックパッカー旅行、リゾート、豪華客船などまで経験豊富。写真雑誌『デジタル写真生活』元編集長であり、同誌ではディレクションから撮影・執筆も担当、平易な解説で支持を得る。現在では機内誌や旅行雑誌での海外ルポや編集長業を中心に活動し、温泉宿や旅先写真術、エッセイなどの連載も。また、クルーズ写真家として雑誌『Cruise Traveller』『クルーズ』などへ寄稿、ナショナルジオグラフィック単行本『世界の船旅』に写真提供。2014年世界一周クルーズより「飛鳥Ⅱ」の写真教室講師を務め、以後ロングクルーズに乗船している。 上智大学文学部新聞学科卒、1972 年東京都生まれ。