船内新聞『アスカデイリー』をふと見ると、朝10時から11時の間に「乗組員の操練」と記された太い帯がありました。お客様は特段何もしなくて大丈夫なうえ、今航でも既に何度もあったため、もはやどなたも気に留めていないかもしれません。が、船ではこうした非常訓練が定期的に行われています。 短音7回、長音1回の警報が鳴ったあと、ライフジャケットと橙色の帽子を身につけた乗組員たちが続々と船内各所の配置につきます。客室係もクルーズスタッフも、ショップやレセプション、機関部などの人たちも。遠くから見守っていると、防火ドアの開閉操作や救命ボートへの集合といった訓練をしていました。 湿った空気が南極からの寒流で冷やされるため、明日くらいまでは霧の海を行くとのことです。そんな中でも変わらず優雅なクルーズライフを楽しめるのは、やはり彼らの日々の努力があればこそ。お客様有志によるお茶会(写真左下)や晩のガウチョショー(右下)など、きょうも盛りだくさんの一日でした。
著者紹介 高橋 敦史 旅行媒体を主とするフリーランスの編集ディレクター・紀行作家・フォトグラファー。国内温泉旅行から海外のバックパッカー旅行、リゾート、豪華客船などまで経験豊富。写真雑誌『デジタル写真生活』元編集長であり、同誌ではディレクションから撮影・執筆も担当、平易な解説で支持を得る。現在では機内誌や旅行雑誌での海外ルポや編集長業を中心に活動し、温泉宿や旅先写真術、エッセイなどの連載も。また、クルーズ写真家として雑誌『Cruise Traveller』『クルーズ』などへ寄稿、ナショナルジオグラフィック単行本『世界の船旅』に写真提供。2014年世界一周クルーズより「飛鳥Ⅱ」の写真教室講師を務め、以後ロングクルーズに乗船している。 上智大学文学部新聞学科卒、1972 年東京都生まれ。