終日航海日のきょう、筆者は午後のコンパスルームで開かれたステンシル教室を覗いてみました。教えてくれるのは手芸を担当する金子幸子先生(写真上、中央)と近藤浩子先生。あらかじめ型抜きされた版を使って、かすれる程度に絵の具をつけた小さな刷毛で、ぽんぽんと叩いて布地に着色します。 今回はハンカチにイルカやヒトデ、ホタテ貝などのモチーフを描きました。最初こそ要領を掴みかねていた方もいたようですが、何度かやるとすぐさま上達。「濃さは絵の具の量ではなく叩く回数で調節」「輪郭を濃く、内側は薄めに」。金子先生のアドバイスも的確です。 じつを言うと当欄筆者も少しだけチャレンジさせて頂きました。一見単純そうに見えつつも微妙なトーンやグラデーションを追い求めることに奥深さがあり、やるほどに楽しさが増してきます。大西洋の陽光が差し込む船上でこんな作業に没頭する時間もまた、贅沢なひとときではないでしょうか。
著者紹介 高橋 敦史 旅行媒体を主とするフリーランスの編集ディレクター・紀行作家・フォトグラファー。国内温泉旅行から海外のバックパッカー旅行、リゾート、豪華客船などまで経験豊富。写真雑誌『デジタル写真生活』元編集長であり、同誌ではディレクションから撮影・執筆も担当、平易な解説で支持を得る。現在では機内誌や旅行雑誌での海外ルポや編集長業を中心に活動し、温泉宿や旅先写真術、エッセイなどの連載も。また、クルーズ写真家として雑誌『Cruise Traveller』『クルーズ』などへ寄稿、ナショナルジオグラフィック単行本『世界の船旅』に写真提供。2014年世界一周クルーズより「飛鳥Ⅱ」の写真教室講師を務め、以後ロングクルーズに乗船している。 上智大学文学部新聞学科卒、1972 年東京都生まれ。