日本を離れて久しい、数えてみれば横浜を出て73日目となる我々ですが、もちろん日本の魅力だって忘れてはいません。きょうはそんな「和の楽しみ」を教えてくれる催しがふたつありました。ひとつは14時からの山口晃さん(写真左下)の講演「私見 日本の古い絵」。 名著『ヘンな日本美術史』で知られる山口さん、雪舟の絵や鳥獣人物戯画を題材にして「写真と違って感じたものが大きく映るのが心のスクリーンであり、日本の絵画はそれを表現している」ということなどを、面白おかしく解説してくれました。ホワイトボードを駆使して次々描く絵もまた、個性的で楽しかったです。 また夜のショーは珍しい古典奇術「江戸手妻」(写真上)。一度は途絶えた手妻を研究して復活、発展させてきた藤山新太郎さんのステージには薩摩琵琶の音色も加わって、優美さや緊張感をも感じられる奇術でした。話術のほうも実に巧みで、会場はたくさんの笑いにも包まれていました。
著者紹介 高橋 敦史 旅行媒体を主とするフリーランスの編集ディレクター・紀行作家・フォトグラファー。国内温泉旅行から海外のバックパッカー旅行、リゾート、豪華客船などまで経験豊富。写真雑誌『デジタル写真生活』元編集長であり、同誌ではディレクションから撮影・執筆も担当、平易な解説で支持を得る。現在では機内誌や旅行雑誌での海外ルポや編集長業を中心に活動し、温泉宿や旅先写真術、エッセイなどの連載も。また、クルーズ写真家として雑誌『Cruise Traveller』『クルーズ』などへ寄稿、ナショナルジオグラフィック単行本『世界の船旅』に写真提供。2014年世界一周クルーズより「飛鳥Ⅱ」の写真教室講師を務め、以後ロングクルーズに乗船している。 上智大学文学部新聞学科卒、1972 年東京都生まれ。