今日で横浜出航から28日目。112日間の航海のちょうど4分の1が過ぎました。飛鳥IIが他の船、特に外国船と違って格段に過ごしやすいのは、日本船ならではの繊細な和食でしょう。ディナーも全日程の半数以上が慣れ親しんだ和食のメニューになっています。 この世界一周には和菓子職人の内海邦吉さんも乗船されていて、今晩はダイニングルーム前で菊の和菓子のデモンストレーションがありました。両手のほかは三角ベラやハサミといったシンプルな道具だけで、まるで手品のように美しい花のかたちができてゆきます。 「もう50年以上もやっていますからねえ」。お客様にすごいすごいとお褒めの言葉を頂いても、そんなふうに謙虚に話す内海さん。温厚な人柄が、作る和菓子にも現れているのだと思います。
著者紹介 高橋 敦史 旅行媒体を主とするフリーランスの編集ディレクター・紀行作家・フォトグラファー。国内温泉旅行から海外のバックパッカー旅行、リゾート、豪華客船などまで経験豊富。写真雑誌『デジタル写真生活』元編集長であり、同誌ではディレクションから撮影・執筆も担当、平易な解説で支持を得る。現在では機内誌や旅行雑誌での海外ルポや編集長業を中心に活動し、温泉宿や旅先写真術、エッセイなどの連載も。また、クルーズ写真家として雑誌『Cruise Traveller』『クルーズ』などへ寄稿、ナショナルジオグラフィック単行本『世界の船旅』に写真提供。2014年世界一周クルーズより「飛鳥Ⅱ」の写真教室講師を務め、以後ロングクルーズに乗船している。 上智大学文学部新聞学科卒、1972 年東京都生まれ。