朝焼けに輝く貨物船の列を追いかけて飛鳥IIは浦賀水道を北上し、定刻通りきょう午前9時に横浜港に入港しました。五大陸をめぐる112日間の世界一周を成し遂げて、ついに船内モニターに示された航路図が地球をひとまわりする1本の線として繋がりました。 デッキにはたくさんのお客さまが繰り出して、出迎えのご家族や馴染みの旅行代理店のスタッフたちに、大きな声で「帰ってきたよ~」と手を振っています。岸壁ではブラスバンドの演奏が響いています。船内では別れを惜しむ「本当にお世話になりました」「ありがとう、また船で会いましょう」という声が聞こえています。 そして感極まってハンカチを握る方が何人も……。本当に私たちは世界一周したんですね!横浜下船の皆さま、どうぞご自宅までお気をつけて。飛鳥IIはあと1日、神戸下船の方々を乗せて太平洋を西進します。
著者紹介 高橋 敦史 旅行媒体を主とするフリーランスの編集ディレクター・紀行作家・フォトグラファー。国内温泉旅行から海外のバックパッカー旅行、リゾート、豪華客船などまで経験豊富。写真雑誌『デジタル写真生活』元編集長であり、同誌ではディレクションから撮影・執筆も担当、平易な解説で支持を得る。現在では機内誌や旅行雑誌での海外ルポや編集長業を中心に活動し、温泉宿や旅先写真術、エッセイなどの連載も。また、クルーズ写真家として雑誌『Cruise Traveller』『クルーズ』などへ寄稿、ナショナルジオグラフィック単行本『世界の船旅』に写真提供。2014年ワールドクルーズより飛鳥IIの写真教室講師を務め、以後毎年ロングクルーズに乗船している。 上智大学文学部新聞学科卒、1972 年東京都生まれ。