大雨が降ったせいか、映像で見た印象よりもずっと美しいピラミッドを、古代の人々への敬意をこめて見上げていると、新宮さんは右手の城壁に囲まれたお城のような遺跡の方へグループを引き連れて行っている。 走って後を追う。距離があってなかなか追いつかない。城壁のような中に入ると、そこはかなり広い空間で、かつての球技場。これも予想をはるかに超えた広さと厳粛というか、一種独特な雰囲気で圧倒される。あまりに広いので写真にどう写せばいいのか途方に暮れる。ビデオでもこの球戯場のすべては伝わらないだろう。 写真の青いTシャツを着た観光客の頭上、かなり上に丸い輪のあるのがお分かりいただけるだろうか、この輪がゴールなのだ。ここに石にゴムを巻いたボールを蹴り入れて、その点数を競ったのだ。「不可能、絶対無理」という声があがる。 そういえば、プラヤデルカルメンに上陸した時、浜辺でサッカチームと思しきユニホーム姿の逞しい男たちが練習というか、走り込みを熱心にやっていたのを思い出した。
著者紹介 青木 勝 1944年生まれ。東京工芸大学卒業後、スポーツニッポン新聞東京本社を経てフリーに。70年、日本航空嘱託契約カメラマンとして飛行機を撮りはじめる。航空雑誌、カメラ雑誌などに、飛行機写真を連載、写真展開催などで飛行機の魅力を広め、独自の飛行機写真の確立と発展 に努める。「2000年 世界一周クルーズ」、「2004年 南極・南米ワールドクルーズ」、「2009年 世界一周クルーズ」に乗船。(社)日本写真家協会会員、(社)日本旅行作家協会会員