早朝2時、カサブランカとバルセロナの時差調整で時計を1時間進めた。8時50分の船長の放送でバルコニーに出て、船尾方向にスペインのパロマ岬が見えるのを確認。午前中、左舷側水平線上に細長く、スペインの街並み、ビル群が蜃気楼のように見えていた。 朝食のとき、写真撮影に熱を入れている方が、「最近、クジラもイルカも出ませんね」と言っていた。寄港地に気をとられていたが、そういえばそうだ。 ところが、昼食後12時45分頃だったろうか、11デッキの船尾に出て、飛行機雲を見ていると、右舷側の雲が虹色に輝いているのに気がついた。 陽射しが強いので色彩がキラキラ輝く。その下を別の飛行機が飛行機雲をひいて飛び去る。1時15分過ぎ、薄い青色になって消えるまで眺めていた。 部屋に戻るため廊下に入ると、目の前が暗緑色になってしばらく何も見えなくなって、頭がくらくらした。それほど陽射しが強烈だったのだ。
著者紹介 青木 勝 1944年生まれ。東京工芸大学卒業後、スポーツニッポン新聞東京本社を経てフリーに。70年、日本航空嘱託契約カメラマンとして飛行機を撮りはじめる。航空雑誌、カメラ雑誌などに、飛行機写真を連載、写真展開催などで飛行機の魅力を広め、独自の飛行機写真の確立と発展 に努める。「2000年 世界一周クルーズ」、「2004年 南極・南米ワールドクルーズ」、「2009年 世界一周クルーズ」に乗船。(社)日本写真家協会会員、(社)日本旅行作家協会会員