午前7時半、飛鳥Ⅱは15世紀~16世紀にかけて繁栄を極めたドブロヴニクに入港。観光シーズンのため、この港にも巨大な客船2隻が先に停泊していたためその前に着岸する。舳先が岸壁からかなりはみ出したので、サイドブリッジで着岸作業を終了した小久江副船長に「岸壁からはみ出ていて大丈夫ですか」と声をかけると、「この先は大きな船が通らないから大丈夫です」とのこと。 下船許可が出ると同時に下船して町の中に入った。港には近代的な大きな橋がかかっていて、その橋の上から飛鳥Ⅱを撮影しようというのだ。徒歩で旧市街に向かうという気功教室講師の山崎先生と途中まで一緒になる。橋に向かう道がわからないまま、山崎先生と別れ、適当なところで登り道に入り上へ上へと登って行くことにした。信じられないほどの傾斜の坂道に家々が建てこんでいて、先が見えない。住民がそれと察してか、「その先だよ」と教えてくれて、ようやく橋に至る道路に出た。観光バスが何台も猛スピードで旧市街方向へ走り去る。 飛鳥Ⅱの見える場所までてくてく歩いて橋の上に達した。絶景である。
著者紹介 青木 勝 1944年生まれ。東京工芸大学卒業後、スポーツニッポン新聞東京本社を経てフリーに。70年、日本航空嘱託契約カメラマンとして飛行機を撮りはじめる。航空雑誌、カメラ雑誌などに、飛行機写真を連載、写真展開催などで飛行機の魅力を広め、独自の飛行機写真の確立と発展 に努める。「2000年 世界一周クルーズ」、「2004年 南極・南米ワールドクルーズ」、「2009年 世界一周クルーズ」に乗船。(社)日本写真家協会会員、(社)日本旅行作家協会会員