飛鳥Ⅱでお昼をいただいた後、勇気を出して再び下船する。覚悟をしていたが、冷房の効いた船内から一歩外へ出ると、息が止まるような蒸し暑さ。ゆっくり歩いただけで、頬を汗がしたたり落ちる経験は生れて初めてである。文字通り、涙が流れ落ちるように汗が流れるのだ。海岸ぞいに少し歩いて飛鳥Ⅱの写真を撮り、旧市街のソカロ広場に行く。合計で20分ほど歩いた程度だが、暑さをものともせず抱きあっている恋人達の隣の木陰で水分をとる。 ひなびた土産物店が集まっているソカロ広場の奥に教会がある。建物の形と装飾がかわいらしい。信仰の厚い人々が祈りをささげている教会内部も、周囲の土産物店からは予想もつかない、ファンタジックな美しさで気持ちがいい。写真を見ると人物の影がほとんどない。午後2時過ぎなのにまさに南中状態。 このあと、道路を隔てて飛鳥Ⅱの目の前にある、2000年の時は、雑草の生えている高台にすぎなかったサンディエゴ要塞に行き、内部の博物館を見学した。要塞の階段にも、熱い抱擁をかわすカップルがいた。アカプルコは暑い!
著者紹介 青木 勝 1944年生まれ。東京工芸大学卒業後、スポーツニッポン新聞東京本社を経てフリーに。70年、日本航空嘱託契約カメラマンとして飛行機を撮りはじめる。航空雑誌、カメラ雑誌などに、飛行機写真を連載、写真展開催などで飛行機の魅力を広め、独自の飛行機写真の確立と発展 に努める。「2000年 世界一周クルーズ」、「2004年 南極・南米ワールドクルーズ」、「2009年 世界一周クルーズ」に乗船。(社)日本写真家協会会員、(社)日本旅行作家協会会員