飛鳥Ⅱは太平洋を西に向かって航行中。毎朝船尾から登った太陽を追いかけて走っていることになる。 午前10時、ハリウッドシアターで、東京工業大学名誉教授岡田典弘氏の講演「クジラは何処から来たの?」を聴く。本当は物凄く難しい話らしいのだが、分子進化学がわからない我々にも理解できるように語った内容をまとめると・・・ アリストテレスは「動物誌」で、クジラを魚と一緒に記述していたが、18世紀にリンネが「自然の体系」で哺乳類に分類した。化石学者は、ムカシクジラの化石がイヌの仲間のメソニクスの構造とよく似ていたので、クジラの祖先はメソニクスだといい続けていた。岡田氏は分子進化学的に系統関係を決定する方法を研究して、ついに遺伝子レトロポゾンがいったん染色体に入り込むと抜け落ちない性質から、これが共通してあるかないかで、系統関係を決定できることを発見。これによってクジラに最も近い動物はカバであることがわかった。この説に猛反対した化石学者も、ムカシクジラのくるぶしの構造が偶蹄類と同じ特徴を持つことを発見して、岡田氏の説が正しいことを認めた。という話。
著者紹介 青木 勝 1944年生まれ。東京工芸大学卒業後、スポーツニッポン新聞東京本社を経てフリーに。70年、日本航空嘱託契約カメラマンとして飛行機を撮りはじめる。航空雑誌、カメラ雑誌などに、飛行機写真を連載、写真展開催などで飛行機の魅力を広め、独自の飛行機写真の確立と発展 に努める。「2000年 世界一周クルーズ」、「2004年 南極・南米ワールドクルーズ」、「2009年 世界一周クルーズ」に乗船。(社)日本写真家協会会員、(社)日本旅行作家協会会員