朝7時20分、遠くからでは雪が降ったように見える島、白い家々が建ち並ぶミコノス島の前で飛鳥Ⅱは投錨を始めた。錨が下ろされる音と振動が、新たな寄港地への期待をかきたてる。 島の中心地ミコノスタウンには、大型船が接岸できないため沖合に投錨し、私達はテンダーボートに乗って上陸するのだ。ここではオプショナルツアーはなく、全員が好きなときに上陸して散策したり、食事をして楽しむことになっている。いつもの寄港地とはちょっと違うことが妙に嬉しい。昨日は、船内のどこへ行っても、「明日が楽しみですね」という会話が聞こえた。 洗濯などの雑用を済ませ、レセプションで両替をして、寄港地情報とミコノス港周辺案内図とミネラルウォーターを持ち、テンダーボート乗り口が設けられた4デッキに向かう。テンダーボート3艇が飛鳥Ⅱとミコノス島の間を適宜往復しているので、それほど待つこともなく、タラップをおりて、テンダーボートに乗り込む。
著者紹介 青木 勝 1944年生まれ。東京工芸大学卒業後、スポーツニッポン新聞東京本社を経てフリーに。70年、日本航空嘱託契約カメラマンとして飛行機を撮りはじめる。航空雑誌、カメラ雑誌などに、飛行機写真を連載、写真展開催などで飛行機の魅力を広め、独自の飛行機写真の確立と発展 に努める。「2000年 世界一周クルーズ」、「2004年 南極・南米ワールドクルーズ」、「2009年 世界一周クルーズ」に乗船。(社)日本写真家協会会員、(社)日本旅行作家協会会員