飛鳥IIはベトナム北部のハロン湾にやってきました。水墨画の世界のような朝霧の中を進むその舳先の向こうから、不思議な形をした小さな島影がひとつ、またひとつと浮かび上がってきます。大小2000もの島々からなるハロン湾に投錨し、きょうのツアーは飛鳥IIから観光船に直接乗り込んで入り江を周遊します。 はるか昔に大陸プレート同士がぶつかることで石灰石群がせりあがって出来たこの景色は、世界遺産にも指定され、今では世界各国から多くの観光客が訪れます。ガイドの方によれば、白の木造で統一された観光船も全部で500隻以上もあるのだそう。飛鳥IIの近くには、他に2隻の客船が来ていました。 小さな観光船に乗って海面に近い目線で見ると、ハロン湾の風情はいっそう豊かに感じられます。木造船のエンジン音、ベトナム人の船長が振る舞ってくれたお茶、船内のテーブル席でビールとともに味わうベトナムの揚げ春巻き……。周囲はどちらを見ても絶景で、もちろん、皆さんたくさん写真を撮られていました。
著者紹介 高橋 敦史 旅行媒体を主とするフリーランスの編集ディレクター・紀行作家・フォトグラファー。国内温泉旅行から海外のバックパッカー旅行、リゾート、豪華客船などまで経験豊富。写真雑誌『デジタル写真生活』元編集長であり、同誌ではディレクションから撮影・執筆も担当、平易な解説で支持を得る。現在では機内誌や旅行雑誌での海外ルポや編集長業を中心に活動し、温泉宿や旅先写真術、エッセイなどの連載も。また、クルーズ写真家として雑誌『Cruise Traveller』『クルーズ』などへ寄稿、ナショナルジオグラフィック単行本『世界の船旅』に写真提供。2014年ワールドクルーズより飛鳥IIの写真教室講師を務め、以後毎年ロングクルーズに乗船している。 上智大学文学部新聞学科卒、1972 年東京都生まれ。