深夜に最後の前進の時刻改正をして、船上の時計は今朝から日本時間と同じ時を刻むようになりました。早朝5時半頃にはついに日本の携帯電話の電波が入り、ほどなく与那国島を右舷に望んで通過しました。飛鳥IIは黒潮に乗って時速18ノット(約33.3km)で神戸に向けて順調に航行しています。 13時から開催された当欄筆者担当の写真教室も最終回となる第4回で、お客様の写真の講評会を行いました。無事に教室を終えた頃、船内には旅の総仕上げの空気が漂い始めたのでしょうか、あちこちでお客様同士、またお客様と講師との間で「今回はお世話になりました」という挨拶の声が聞こえてきました。 夕方にはキャプテンズ・フェアウェルパーティーがギャラクシーラウンジで催され、増山キャプテンを筆頭とするシニアオフィサー陣が、それぞれに個性的で心温まる挨拶をしてくれました。華やかな正装に身を包んだ今航を締めくくるフォーマルナイト。どなたも素敵な夜を過ごされたことでしょう。
著者紹介 高橋 敦史 旅行媒体を主とするフリーランスの編集ディレクター・紀行作家・フォトグラファー。国内温泉旅行から海外のバックパッカー旅行、リゾート、豪華客船などまで経験豊富。写真雑誌『デジタル写真生活』元編集長であり、同誌ではディレクションから撮影・執筆も担当、平易な解説で支持を得る。現在では機内誌や旅行雑誌での海外ルポや編集長業を中心に活動し、温泉宿や旅先写真術、エッセイなどの連載も。また、クルーズ写真家として雑誌『Cruise Traveller』『クルーズ』などへ寄稿、ナショナルジオグラフィック単行本『世界の船旅』に写真提供。2014年ワールドクルーズより飛鳥IIの写真教室講師を務め、以後毎年ロングクルーズに乗船している。 上智大学文学部新聞学科卒、1972 年東京都生まれ。