世界を見てみたいと思っていたのですが、仕事が忙しくて海外に行ったことはありませんでした。この仕事のことは、元クルーの方から聞いていて、そんなに世界をみてみたいなら応募してみたらと勧められたのがきっかけです。 飛鳥IIで働いて、世界一周を何度もすることができて念願がかないました。今も腕をみがきつつ、次はどんなところに行けるだろうと楽しみにしています。
セクションシェフとして、S・A客室ご利用のお客様限定のプレミアダイニング「プレゴ」での仕事をしています。プレゴではお客様に、街の小さなレストランのようなメニュー構成を楽しんでいただけます。 飛鳥IIのダイニングと街のレストランの最大の違いは、同じお客様が毎晩いらっしゃること。お客様に飽きられてしまうことのないよう、お好みに合わせたパーソナルなサービスを提供できるのが、プレゴでシェフとして働く喜びです。
この仕事を選んだきっかけが世界を見てみたいということでしたから、休憩時間に世界遺産をみることができるのが私にとっての楽しみです。これまでに、バルセロナのサグラダ・ファミリア、アテネのパルテノン神殿、リボルノに寄港したときはピサの斜塔を見に行きました。エジプトでは、ギャレーの仲間と連れだってピラミッドを見に行ったこともあります。 大変だったのは、船での大量調理のシステムに慣れることでした。それまではレストランで働いていたので、小人数の食事しか担当したことがありませんでした。その意味では、今のプレゴでの仕事は自分に合っていると感じます。
寄港地ではなるべく外に出て、地元のレストランに入り、その土地の食事をするようにしています。仕事のヒントになることもありますが、なんといっても食事のことを考えるのが好きなのです。
バルセロナで下船したとき、先のサグラダ・ファミリアの他にもアントニ・ガウディの作品群を見てまわり、大変な感銘を受けました。 また、以前ゲストシェフとして乗船されたシェフの知人の紹介で、世界で最も予約が取りにくいことで有名なバルセロナ近郊のレストラン「エル・ブジ」の研究室を見学させてもらい、とても貴重な体験をすることができました。 ということで、寄港地ではなんといってもバルセロナがいちばん好きです。