photo essayフォトエッセイ

飛鳥Ⅱ

ドラマチックな一日を迎えて

  • 緯度:S 30度 9分
  • 経度:E 153度 37分
  • 天気:曇り
  • 気温:26.0 度
  • 速力:16.4 ノット
  • 海域:太平洋
  • 寄港地:終日航海日

カーテンの隙間から漏れる赤らんだ光に気付き、寝ぼけ眼のままカメラを手に後方デッキへ向かうと、そこには夜の闇と朝の光とがせめぎ合う幻想的な空が広がっていました。日の出直前のわずか10分間ほどの、おそらく今航で一番の朝焼け。連日の雨模様から一転するドラマチックな一日の始まりでしたが、早起きは三文の徳とはまさにこうしたことを言うのでしょう。

東オーストラリア海流に乗り、通常よりもハイペースの平均時速37kmで航行する「飛鳥Ⅱ」。その勢いに乗じるかのように終日航海の船内でも魅力的なイベントが多数催されました。増田久雄さんと立川志の八師匠の異色のトークショーは、増田さんの著書『栄光へのノーサイド』がすべての縁。明後日には同書を基にした落語を志の八師匠が演じられるとのことで楽しみです。

第二夜となる名渡山遼さんのウクレレコンサートはソロ。ひとりで舞台の空気感を支配する演奏はさすがのもので、アンコールではラウンジコンサートで披露した難曲『トルコ行進曲』に再挑戦しました。喝采鳴りやまぬギャラクシーラウンジからこっそり抜け出して外へ出ると、日没の迫る空が色づきそうな気配。宵の空に星が瞬くまで眺め、一日の終わりを迎えました。

永島 岳志

著者紹介/永島 岳志

1980年、埼玉県生まれ。石川県金沢市在住。
システム会社勤務後、アジア放浪を経て写真雑誌の編集者へ転身。その後、ユーラシア〜アフリカ大陸のバックパッカー周遊、北米大陸自転車横断を経て帰国。2014年からはフリーランスとして編集業とともにカメラマンとしても活動する。
2018・2019年に「飛鳥Ⅱ」の海外クルーズにてフォトエッセイ&写真教室を担当。