photo essayフォトエッセイ

飛鳥Ⅱ

ボサノバから闇夜の鉄底海峡へ

  • 緯度:S 11度 44分
  • 経度:E 161度 13分
  • 天気:曇り
  • 気温:30.0 度
  • 速力:17.6 ノット
  • 海域:太平洋
  • 寄港地:終日航海日

本日は以前から楽しみにしていたフォトショップによる記念動画上映会が開催されました。ハリウッドシアターはめでたく満員御礼。横浜や神戸の出港風景にドローンを駆使したスペクタクルな映像、つい昨日の船上イベントまで、その撮影&編集技術もさることながら、そのすべてが今航の一場面であるという事実に、改めてこの旅のスケールの大きさを実感します。

ついに旅をまとめ上げる時期になったのだなと、少しの寂しさが入り混じった心にすっと寄り添ったのが小野リサさんのギャラクシーラウンジでのコンサート。小野リサさんは、言わずとしれた日本におけるボサノバの第一人者。ピアノとギターというミニマムな構成で歌い奏でるボサノバの名曲は、まるで昼下がりの港町を舞う風のような心地よさをまとっていました。

もうひとつ、今夜は隠れたイベントがありました。アイアンボトム・サウンド(鉄底海峡)の通航です。太平洋戦争の激戦地となったガダルカナル島。この海域では沈没した多くの艦船や航空機がいまなお海底に残存しているといいます。海上から望むことは叶いませんが、日没後には数日分はあろうかという雨風が吹き荒れ、海峡へと進む「飛鳥Ⅱ」を手荒く歓迎したのでした。

永島 岳志

著者紹介/永島 岳志

1980年、埼玉県生まれ。石川県金沢市在住。
システム会社勤務後、アジア放浪を経て写真雑誌の編集者へ転身。その後、ユーラシア〜アフリカ大陸のバックパッカー周遊、北米大陸自転車横断を経て帰国。2014年からはフリーランスとして編集業とともにカメラマンとしても活動する。
2018・2019年に「飛鳥Ⅱ」の海外クルーズにてフォトエッセイ&写真教室を担当。