機関士として、船を動かすためのエンジンや海水から真水を作る機械など、船の全般的な機械整備の仕事を担当しています。機械は全て、数ヶ月に1回や数年に1回の周期で整備、掃除、部品の交換を定期的に行うよう定められているので、常にスケジュールに則って作業を行い、飛鳥Ⅱを万全の状態に保っています。整備以外では機関制御室での当直業務というものがあり、重要な機器に異常がないか24時間交替でモニタリングしています。機関室に居ると周りの状況がわからないので、私たち機関部が最もコミュニケーションを取り合うのは甲板部です。今どこへ向かっていて、どういったオペレーションを行うのかは常に共有しています。風向きなど周囲の環境によって行えない作業もあるので、航海士からの情報共有を元に作業計画を立てることがとても重要になります。ホテルスタッフやショップスタッフが飛鳥Ⅱの顔だとすると、我々機関部は飛鳥Ⅱの心臓にあたるイメージですね。飛鳥Ⅱにおいて一番重要な「安全」に関わる作業なので気が抜けません。お客様と接する場面はそこまで多くはありませんが、機械や乗り物好きのお客様とエンジンの話で盛り上がることもあります。


五感を使って船の安全を守り抜く、
Y.Mizuno
三等機関士


綿密な計画と整備、即応力で、飛鳥Ⅱを24時間守り続ける。


人の温もりが教えてくれた、飛鳥Ⅱの機関士としての誇り。
アラスカで氷河が崩れる瞬間を間近で目撃した時は、そのスケールと勢いに感動しました。お客様にできるだけ近くで見ていただきたいので、安全を保ちながら船を近づけていました。 また、北海道の函館でも心温まる経験をしました。上陸した際に立ち寄ったお店で「飛鳥Ⅱに乗ってきました」と話したら、おまけをしてくれたんです。いろいろな土地でどこからきたのかと尋ねられた時、飛鳥Ⅱの名前を出すと、このように良くしてくださることが度々あって、全国的に愛されている船なのだと実感します。機関士として乗船できることを誇らしく思います。

明日の飛鳥Ⅱを今日よりも良い状態に。
毎日機械を見続けていると、例えばメーターの位置がいつもと微妙に違うだけで、「どこかの部品が汚れている」と気がつくことができます。私はまだ経験が浅いのでその域ではありませんが、ベテランの機関士だと機械に触っただけで温度が分かるそうです。また、漏れている液体が海水なのか真水なのか舐めて判断したり、気体の漏れを微妙な音の違いで判断することは日常茶飯事で、航海の安全を守るため、いつも五感を使って仕事をしています。飛鳥Ⅱは長年航海を続けてきた船ですが、これからまだまだ安全かつ快適に使い続けられる船です。2020年4月に長期間のリニューアル工事が終わり、重要な機械が新しくなりました。新しい機械も万全の状態を保ったまま永く使い続けたいと思っています。綿密に整備計画を立て、全ての機械を昨日よりも良い状態にすることを基本に、飛鳥Ⅱの安全を守り続けます。

