photo essayフォトエッセイ

飛鳥Ⅱ

2024/5/2(木)

トビウオと絶海の孤島セントヘレナ

  • 緯度:S 17度 19分
  • 経度:W 4度 11分
  • 天気:晴れ
  • 気温:24.0 度
  • 速力:18.2 ノット
  • 海域:大西洋
  • 寄港地:終日航海日

きょうは朝から絵に描いたような凪の日でした。海面は紺色のガラスのようにどこまでも滑らかに艶やかにうねり、舳先が切り裂く波以外はかすかな白波もありません。浮かぶ雲が海に映っていて、船はどこか夢のような不思議な世界を進んでいます。デッキから眼下を覗くと、時折すごい勢いで船から離れる細い点線が引かれます。トビウオです。

それを見つけた何人かのお客様と即興のトビウオ撮影会になりました。いきなり飛び出す魚ゆえに至難の業でしたが、「前方8デッキでいいのが撮れた」というお客様のアドバイスに従い、粘りの末に写し止めたのが上の1枚。尾びれで線を引くようにして飛び立つ姿はまるで空を飛ぶ飛行機。「きょうはこれだけでも楽しいや」という声が聞こえます。

が、それにとどまらないのが「飛鳥Ⅱ」の船旅です。夕方には南大西洋の絶海の孤島・セントヘレナの間近を航行(写真下2点)。かのナポレオンが幽閉されて亡くなるまでの5年半を過ごした場所で、断崖絶壁の間の小さな入り江からのびる699段の階段「ジャコブス・ラダー」も見えました。世界一周クルーズならではの貴重な眺めと言えるでしょう。

高橋 敦史

著者紹介/高橋 敦史

1972年生まれ。東京都出身。
旅行媒体を主とするフリーランスの編集ディレクター・紀行作家・フォトグラファー。クルーズ写真家として各媒体での撮影・執筆を担当するほか、旅のジャンルは温泉旅行からバックパッカー旅、リゾートなどまで経験豊富。
2014年世界一周クルーズより「飛鳥Ⅱ」の写真教室講師を務め、以後ロングクルーズに度々乗船している。