photo essayフォトエッセイ

飛鳥Ⅱ

たくさんの思い出と土産を持って、横浜へ

  • 緯度:N 35度 27分
  • 経度:E 139度 39分
  • 天気:晴れ
  • 気温:9.0 度
  • 速力:15.6 ノット
  • 海域:-
  • 寄港地:横浜

目が覚めると窓の向こうには三浦半島の街並み。そしてその先には朝空に霞む美しい独立峰の山容。ありふれた言葉ではなく、実感のこもった「日本のシンボル」としての富士山がそこにありました。そして予定時刻の9時から少し早まって、「飛鳥Ⅱ」は横浜港大さん橋国際客船ターミナルへと無事帰港。横浜下船の皆様、39泊40日の長旅、ご一緒させていただきありがとうございました!

下船時刻を知らせる船内放送に、神戸まで乗船する筆者はどうも落ち着かない気分。事務作業の手を休めてテレビを点けるとちょうど横浜出港のシーンが流れていました。そこに映るのは「たくさんの思い出とお土産を持って戻ってまいります」と挨拶する船長の姿。その映像に懐かしさを覚えるとともに、今日まさに来たる日を迎えていることに不思議な感慨を覚えます。

思えばどんよりとした冬空が広がっていた1月19日。本日は冷たい空気のなかにも日差しの暖かさを感じ、そよぐ風に乗って春の匂いが運ばれてくるよう。確実に時を刻む横浜の風景と同様、私たちも旅空のもとで同じだけ時を重ねたということでしょう。さあ今航も残すはあと神戸のみ。大きな汽笛を鳴り響かせて、「飛鳥Ⅱ」は最後の航海へと旅立つのでした。

永島 岳志

著者紹介/永島 岳志

1980年、埼玉県生まれ。石川県金沢市在住。
システム会社勤務後、アジア放浪を経て写真雑誌の編集者へ転身。その後、ユーラシア〜アフリカ大陸のバックパッカー周遊、北米大陸自転車横断を経て帰国。2014年からはフリーランスとして編集業とともにカメラマンとしても活動する。
2018・2019年に「飛鳥Ⅱ」の海外クルーズにてフォトエッセイ&写真教室を担当。