photo essayフォトエッセイ

飛鳥Ⅱ

2025/4/12(土)

赤道直下の海と夕日

  • 緯度:S 0度 22分
  • 経度:E 85度 49分
  • 天気:曇り
  • 気温:30.0 度
  • 速力:15.0 ノット
  • 海域:インド洋
  • 寄港地:終日航海日

船上生活のリズムを保つルーティーンのひとつがキャプテンによる朝8時50分の放送です。今朝のそれ曰く、「本船『飛鳥Ⅱ』は8時27分に赤道を通過し、現在、赤道に沿って航行中」とのこと。客室の航路図チャンネルをつけてみると、まさに船が赤い線の上を真西に進んでいました。広いインド洋でしばし赤道の線に乗ってみる。そんな遊び心も嬉しいものです。

そして西に進む船は次の寄港地との時差調整のために、折々に時刻改正をしています。昨晩も時計の針を1時間巻き戻したので、船内の雰囲気はいつも以上に穏やかです。手元の船内新聞『アスカデイリー』には朝からたくさんの催しや教室が並んでいます。新潮劇院のメンバーが教える太極拳教室、バルーンアート教室、社交ダンス教室、各種ゲームなど、バリエーションも実に豊か。

このインド洋に出てからは、海はいっそう青く、夕焼け・夕日がきれいに見える日も増えました。雲が多めなきょうは、だからこそ空が黄金色に輝いて印象的に。あたりが漆黒に包まれた頃、ギャラクシーラウンジでは今航のために結成された邦楽グループ「飛竜乗雲」の繊細かつダイナミックな演奏も。津軽三味線、和太鼓、尺八からなる和楽器の魅力に酔いしれた、贅沢な赤道直下の夜でした。

高橋 敦史

著者紹介/高橋 敦史

1972年生まれ。東京都出身。
旅行媒体を主とするフリーランスの編集ディレクター・紀行作家・フォトグラファー。クルーズ写真家として各媒体での撮影・執筆を担当するほか、旅のジャンルは温泉旅行からバックパッカー旅、リゾートなどまで経験豊富。2014年世界一周クルーズより「飛鳥Ⅱ」の写真教室講師・フォトエッセイ担当を務め、以後ロングクルーズに度々乗船している。