photo essayフォトエッセイ

飛鳥Ⅱ

2025/5/1(木)

飛鳥Ⅲとランデブー

  • 緯度:S 15度 56分
  • 経度:W 5度 51分
  • 天気:晴れ
  • 気温:25.2 度
  • 速力:17.9 ノット
  • 海域:南大西洋
  • 寄港地:終日航海日

「飛鳥Ⅱ」は今朝、大西洋の絶海の孤島・セントヘレナを間近に望むところまでやってきました。かのナポレオンが幽閉された場所として知られ、周囲は断崖絶壁です。一見すると人が住むのも大変そうですが、丘上の大地は平坦で、畑や集落があるようです。小さな入り江から急峻な崖を一直線にのぼる階段「ジャコブスラダー」も見えました。かつてはそこにケーブルカーがあったそうです。

荒々しい島の景色に感心していると、前方から別な白亜の客船が……。その船は、なんとドイツの造船所を出て日本へ回航中の新造客船「飛鳥Ⅲ」。こちら「飛鳥Ⅱ」の船内では昨日ちらりと予告があって、お客様は急遽手づくりした旗を振ったり、横断幕を掲げたり。「飛鳥Ⅲ」のデッキにもたくさんのクルーが出ていて、手を振る姿が見え、声まで聞こえるほどでした。

白地に赤の2本線。同じ“ニ引き”の煙突を持つ優美な2隻が、絶海の孤島を背景にランデブー。本船キャプテン曰く「日本のお客様が『飛鳥Ⅲ』の走る姿を見るのはこれが初」だそう。「飛鳥Ⅱ」最後の世界一周クルーズにまたひとつ、大切な思い出が増えました。午後にはクラシックギターの岡野雅一さんのコラボ演奏、諸岡淳先生による金粉を使った本格金継ぎ教室も。穏やかな航海が続いています。

高橋 敦史

著者紹介/高橋 敦史

1972年生まれ。東京都出身。
旅行媒体を主とするフリーランスの編集ディレクター・紀行作家・フォトグラファー。クルーズ写真家として各媒体での撮影・執筆を担当するほか、旅のジャンルは温泉旅行からバックパッカー旅、リゾートなどまで経験豊富。2014年世界一周クルーズより「飛鳥Ⅱ」の写真教室講師・フォトエッセイ担当を務め、以後ロングクルーズに度々乗船している。