photo essayフォトエッセイ

飛鳥Ⅱ

聖と俗、微笑みの国の混沌を味わう

  • 緯度:N 13度 04分
  • 経度:E 100度 54分
  • 天気:晴れ
  • 気温:29.0 度
  • 速力:15.1
  • 海域:-
  • 寄港地:レムチャバン

昨夜からの満月がまだ西の空に残る夜明け前。着岸を控えた「飛鳥Ⅱ」のプロムナードデッキから眼下を見ると、レムチャバン港の岸壁では私たちを歓迎するための楽器隊と踊り手の姿が早くもありました。ひとりのお客様が手を振ると、彼らも一斉に手を振り返してくれます。「微笑みの国」。やはりこれ以上、タイの国民性を的確に表す言葉はありません。

ツアーバスに揺られて向かったのは、1981年から建設が続く巨大な木造建築、サンクチュアリ・オブ・トゥルース。未完の理由は潮風や強い日差しによる木材の劣化が激しく、建設と同時に修復しているため。施主である実業家のレック・ウィリヤパンはすでにこの世を去っていますが、伝統技術の保護と継承という彼の目的からすれば、「未完」こそあるべき姿なのかもしれません。

レムチャバンではオーバーナイトステイとなるため、夕方以降に外出されたお客様も多かったことでしょう。筆者もパタヤへと繰り出し、束の間のバックパッカー気分を謳歌しようと歓楽街をそぞろ歩き。昼から夜と、ひとつの地域とは思えない体験のギャップに圧倒されますが、聖と俗が入り混じる街の混沌は、心地よい熱を帯びて旅の情緒を盛り上げるのです。

永島 岳志

著者紹介/永島 岳志

1980年、埼玉県生まれ。石川県金沢市在住。
システム会社勤務後、アジア放浪を経て写真雑誌の編集者へ転身。その後、ユーラシア〜アフリカ大陸のバックパッカー周遊、北米大陸自転車横断を経て帰国。2014年からはフリーランスとして編集業とともにカメラマンとしても活動する。
2018・2019・2025年に「飛鳥Ⅱ」の海外クルーズにてフォトエッセイ&写真教室を担当。