photo essayフォトエッセイ

飛鳥Ⅱ

ホーチミンの鼓動、サイゴン川の夕風

  • 緯度:N 10度 37分
  • 経度:E 106度 46分
  • 天気:曇り
  • 気温:29.0 度
  • 速力:11.9
  • 海域:-
  • 寄港地:ホーチミン

今航7箇所目となる寄港地・ホーチミン。市内中心部行きの連絡バスの車窓を流れるのは、おびただしい数のバイクの群れに、背の低いプラ椅子に座って路上でおしゃべりに興じる人々、旧正月を迎えるための花売りの露店、そして背後に林立する高層ビル群。その光景はまるで、いまこの瞬間を謳歌する若者のように、エネルギッシュな空気に満ちています。

限られた時間をどう使おうかと思案して訪れた先は、サイゴン中央郵便局。フランス統治時代の面影を色濃く残す建築のひとつでありながら、現在もなお現役であることが特徴です。旅の記念にと家族宛にポストカードを投函しましたが、アナログさがかえって旅の醍醐味となるのは全世界共通のよう。他の旅行者たちもみな真剣な表情で言葉をしたためていました。

帰りのバスの出発間際、路上の青空食堂でフォーを一杯かき込み、ホーチミンでのミッションは完遂。帰船後に向かった12デッキでは、ボラカイ島以来の「シーブリーズ」が開催中でした。サイゴン川をじんわりと染める薄暮の時分、お客様と気さくに談笑するアオザイ姿のクルーズスタッフたち。その光景がどこか愛おしく、いつまでも眺めていたのでした。

永島 岳志

著者紹介/永島 岳志

1980年、埼玉県生まれ。石川県金沢市在住。
システム会社勤務後、アジア放浪を経て写真雑誌の編集者へ転身。その後、ユーラシア〜アフリカ大陸のバックパッカー周遊、北米大陸自転車横断を経て帰国。2014年からはフリーランスとして編集業とともにカメラマンとしても活動する。
2018・2019・2025年に「飛鳥Ⅱ」の海外クルーズにてフォトエッセイ&写真教室を担当。