船の全てを統率する手腕で、
お客様の心までも包み込む。

H.Kogue

飛鳥クルーズ 第11代船長

01船の安全を象徴し
心はいつもお客様のそばに。

「飛鳥Ⅲ」の就航にあたり、初代船長という大役を任されたことを、心から誇りに思っています。船長の最も重要な使命は、何よりも船の安全を守ることです。しかし、これは一人で達成できるものではありません。航行を担う甲板部、エンジンを守る機関部、そしてサービスを担うホテル部——それぞれの専門部門が力を合わせ、船長がその全体を統括することで、初めて安全で快適な航海が実現します。
大切なのは、「私たちが安全だと思っていること」と「お客様が安全だと感じること」は、必ずしも同じではないということです。
例えば、乗組員にとっては日常的な揺れでも、「すごく揺れている」と感じるお客様もいらっしゃいます。それを「これが当たり前」と伝えてしまうのではなく、まずお客様の目線に立つことを心がけています。安心して“我が家”のように寛いでいただくために、心のケアもまた船長の大切な務めなのです。そのため、できるだけ多くの方と直接言葉を交わし、積極的にお客様の輪の中へ入っていくようにしています。お客様一人ひとりとの出会いが、私にとっての航海の喜びでもあります。

02大海の先に、未知の出会いと
感動が待っている。

海でしか見られない自然現象として印象深いのは、「グリーンフラッシュ」です。これは太陽が水平線に完全に沈む直前、緑色の光が一瞬輝く現象なのですが、とてもめずらしく、運良く見ることができれば幸福が訪れると言われています。
また、個人的に大好きな寄港地の一つにアラスカのジュノーがあります。渓谷の中に小さな街があり、市外からは道路も鉄道も通っていません。ジュノーの付近では氷河の崩落を間近に見ることもでき、自然の壮大さを感じます。一方、陸路で行ける場所であっても、海から見る景色は別物です。シドニーのオペラハウスやニューヨークの自由の女神など、長い航程を経て出会うと「やっと出会えた」という気持ちも相まって、感動が込み上げます。大袈裟ですが、かつて先人が大陸を発見した時も、こんな気持ちだったのではないかと想像します。
日本の寄港地では、地元の方の歓迎が何より嬉しいです。どの港も華やかに迎えてくれますが、特に静岡県の清水港は、横浜から近いこともあり、一年のうち何度寄港しても変わらず大勢の人々が待っていてくださいます。盛大な歓迎は、大自然にも劣らない感動を与えてくれます。

03お客様の思いを糧に、
飛躍する「飛鳥Ⅲ」。

「飛鳥Ⅱ」の船長を務め、ドイツで「飛鳥Ⅲ」の建造を見守ってきた者として、「飛鳥III」の誕生は大変感慨深いです。「飛鳥Ⅲ」は最新鋭の機器を搭載しており、今後は新しい寄港地も増えることでしょう。船内でも、寄港地でも、これまで以上に自由で豊かな時間をお楽しみいただけるはずです。
「飛鳥II」の船長を務めていた頃から、お客様からの温かいお声が私の力の源でした。乗組員が「お客様のために」と思うのは当然ですが、お客様もまた私たちや「飛鳥II」「飛鳥Ⅲ」を思ってくださることが本当に嬉しく、誇りに思います。
お客様、関係者、社員、そして乗組員の念願だった新造客船。「飛鳥Ⅲ」が叶える最幸の時間は、お客様がより自分らしく楽しめる、パーソナライズされたクルーズライフです。初代「飛鳥」、そして「飛鳥Ⅱ」のように、皆様から愛され親しまれる船へと育てていきたいと思います。