私が「本物の感動」と呼ぶのは、海がもたらす自然そのものです。
洋上で迎える朝陽、刻々と色を変える夕陽、雲ひとつない夜空に広がる満天の星――その瞬間をお客様と共に眺め、静かに感動を分かち合えた時間は、今も心に残っています。イルカやクジラなど、生き物との出会いもまた、海からしか得られないかけがえのない体験です。 さらに、2025 年 7 月、ドイツの造船所を出港した「飛鳥Ⅲ」が、偶然にも初代「飛鳥」と「飛鳥Ⅱ」に大西洋で出会えたことは、新たな門出を祝福されたかのような、感動的な出来事でした。乗組員全員が胸を熱くし、世代を超えて受け継がれる飛鳥クルーズの歴史と絆を実感しました。その航海中、南アフリカ・ケープタウンで初操船を任されたことや、テーブルマウンテンから望む雄大な景観も、忘れがたい思い出の一つです。

「飛鳥Ⅲ」 二代目船長として、
T.Kamiya
飛鳥クルーズ 第16代船長

初代「飛鳥」、
「飛鳥Ⅱ」、「飛鳥Ⅲ」。
洋上で受け継がれる
ASUKAの魂。


陸で培った危機管理経験を糧に
航海の安全を支える。
私は 1999 年に日本郵船へ入社後、航海士としての経験を積むとともに、陸上勤務では危機管理チームに所属し、数々の難局に対応してきました。そんな私にとって、客船乗務は幼い頃から夢見た世界です。2024 年には「飛鳥Ⅱ」の副船長を務め、この度「飛鳥Ⅲ」の第二代目船長に就任させていただきました。千数百名の命を預かる立場として、何よりも優先すべきは「安全」です。陸上での危機管理経験から、不測の事態における判断の重さ、そして社会的責任の大きさを深く理解してきました。その知見は船長職に直結しており、日々の運航に確かな支えとなっています。
同時に、乗組員が誇りを持って働ける環境づくりも重要です。仲間が高いモチベーションを保ててこそ、お客様に心からの安心と愉しさをお届けできる。伝統を受け継ぎながらも新しい時代にふさわしいクルーズを築いていくことを信条としています。
新しさの中で輝く
本物の美しさ。
「飛鳥Ⅲ」は最新の技術を備えた新世代客船です。高速通信設備、優れた安定性と静音性により、お客様によりラグジュアリーな快適性を提供できるようになりました。そして外せないのが、美しい芸術作品の数々です。特に船の中心に位置する三層吹き抜けのメインアトリウムは、思わず吸い込まれるような美しさ。人間国宝 室瀬和美氏による壮大な漆芸作品が鎮座し、船内を彩る芸術作品からレストランやバーでお使いいただく器まで、「本物」へのこだわりが船内の至るところに息づいています。メインバー「マリナーズクラブ」で使用しているバカラのグラスは「飛鳥Ⅲ」限定の復刻品の1つです。私自身、器やグラスの収集が趣味でもあり、料理・空間・器、すべてが調和した最高品質の食卓は、どなたにも自信をもっておすすめできます。
「飛鳥Ⅲ」は「革新」的な客船でありながら、初代「飛鳥」、「飛鳥Ⅱ」と受け継がれてきた「伝統」がその価値の中心を支えています。安全性と快適性、そしてその上に未来志向のラグジ ュアリー体験を積み重ね、お客様一人ひとりにかけがえのない「最幸の時間」をお届けしてまいります。




