明け方5時頃まだ薄暗い中、12デッキに上がる。まるで水墨画のような連山が見え、被さった雲の合間はうす紅色で染められていた。その色もつかの間、みるみるうちに、燃えるような赤金色の太陽が現れ、山上から船に向かって波の上にキラキラ輝く道ができる。
私は、長期クルーズ初体験。33日間がなんと短いことか。「飛鳥Ⅱ」という名の箱船が輝く海の道を何処にでも運んでくれる。空・雲・海は色と形が変化し、飛び交う鳥、クジラ・イルカが演技をする。数々の寄港地で眺める景色・風土の違い、オホーツクの静寂、石垣島の灼熱に野外サウナを体験しているうちに、いつの間にか航海路線図が神戸港に繋がった。海上の空間は、鉄道・空路移動では得られない最上の旅。気配りの行き届いた乗務員の方達、同じ時間を体験した乗客の皆様、そして何よりも思い出の数々と夢見る時を与えてくれた「飛鳥Ⅱ」にありがとう!11時飛鳥Ⅱは第2の終着地東京港に向け出港した。
今日は七夕、今は青く澄んだ空が夜には七夕の星達でダイヤモンドのように輝くことを思い浮かべ手を振った。