1997年に航海士となって以来、さまざまな貨物船で世界の海を航海し、船長も務めてきました。そんな私が客船に惹かれるきっかけとなったのは、自らが乗客として経験した船旅です。先輩の勧めを受けて、妻と幼い娘を連れ、ベニスからアドリア海を巡るクルーズへ。乗船するだけで目的地へと導いてくれる安心感や、船上で過ごす豊かな時間に魅了されました。なかでも出港直後に目にした、絵本の世界がそのまま現実になったようなベニスの街並みは、今も鮮明に心に残っています。
その後、尊敬する上司が「リタイア後は客船で世界をゆっくりと巡り、船から美しい景色を見たい」と話すのを聞き、客船は思い出づくりだけでなく、自分自身を労う時間を届けられるものなのだと感銘を受けました。
そして「飛鳥Ⅲ」の船長となった今、私がいつも胸に留めているのがCaptainとMasterとしての責任です。Captainが指揮を執る者を、Masterが熟練した技術者を意味するように、船長はその両方を併せ持つ存在です。さまざまな船種や航路・海域・地域で身につけた知識と、状況を読み、最善の判断を重ねてきた経験を最大限に活かし、お客様・乗組員・船を守る責任を全うしたいと思います。

お客様の想いをのせ、
K.Eguchi
飛鳥クルーズ 第17代船長

貨物船船長のキャリアを礎に、「飛鳥Ⅲ」の安全を守る。


まだ見ぬ「出会い」への期待を胸に、
五感で味わう「本物」の感動。
航海を重ねた今でも、船から見る景色に強く心を動かされます。地中海に浮かぶマルタ島の美しさ。ニューヨークへ海からアプローチする時に見渡す摩天楼。そして、日本近海の黒潮で出会った夜光虫。船が起こす波に刺激され、青白い光が次々と広がり、航跡が天の川のように輝く光景は、今も鮮明に記憶に残っています。
「飛鳥Ⅲ」には、設備や食事、エンターテイメント、サービスに至るまで、こだわり抜いた「本物」があります。一方で、私たちの想像を超える運命的な感動もあります。それは例えば、満天の星空や、イルカやクジラとの偶然の出会い。潮風の匂いや波の音、体に伝わる振動、そして「見られるだろうか」という期待まで、すべてを五感で味わう。それこそが、画面越しでは体験できない、船旅ならではの「本物」の感動だと思っています。
ただ海を旅するのではなく、「感動をつくる」のが、ASUKA CRUISE。
「飛鳥Ⅲ」の操船設備に触れた時、さまざまな寄港地との出会いをお届けするためにつくられた、優秀な船だと感じました。喫水を浅くした設計により、これまでは訪れることが難しかった場所にも寄港できる可能性が広がっています。
客船の航海は、ただA地点からB地点へ移動することではありません。お客様に海からの景色をより楽しんでいただくために航路を考え、時には岬へ近づく。目的地での観光だけでなく、船の上で生まれる感動や出会いの時間をつくることも、船長の役割だと考えています。
今後の展望としては、日本で育まれてきた飛鳥クルーズのおもてなしを、より多くの国のお客様にも知っていただきたいと思います。そのためにも、安全な航海を礎に、操船技術と海への知見をさらに究め、お客様が求めるものをお客様の目線で探求していきます。
ただ海を旅するのではなく、「感動をつくる」のが、「飛鳥Ⅲ」、「飛鳥Ⅱ」という船です。その瞬間しか得られない感動を、一つひとつの航海で追求していきたいと思います。




