夕方8時頃、船内に、「虹が出ている」との声がリレーのように伝わった。日没が10時一寸過ぎだから、その時は日没2時間前ということになる。皆さん、雨に濡れるのを忘れて、デッキに総出となる。 雨はまだ止まないが、西の空は晴れ渡っている。東側の航跡に巨大な虹が輪を描く。虹は、雨が止む9時頃まで、1時間は見られた。皆さん、空を見上げて、「こんな虹は生れて初めて」とおっしゃる。
著者紹介 小泉 澄夫 1934年生まれ。写真家、日本写真芸術学会会員、世界遺産フォーラム主宰。 「日本人の心」をテーマに風景写真を30年以上撮り続けている。ここ15年は、ヨーロッパ・北米大陸・中国を中心に世界各地の世界遺産の写真撮影や、講演活動、執筆活動を行っている。本フォトエッセイの連載は「2008年オセアニア・グランド・クルーズ」以来の2回目となる。 ■著書 「世界遺産ビジュアルハンドブック」