年越し前後は船内イベントが盛りだくさんで、とても一度では紹介しきれません。元日の「『書』パフォーマンス」もそのひとつ。だから大きな作品が6デッキに飾られていたのを見て「そうだ、きょうは書道教室にお邪魔しよう」と思いつきました。教えてくれるのは福島霞葉先生、栃木郁子先生のおふたりです。 この日のお題は2016年のカレンダーを飾る「書」を書くこと。「うまく書こうと思わないでください。自分らしい字でいいんですよ」と福島先生。陽射しが明るい11デッキのリドカフェでマイペースで筆を運ぶ。そんなひとときに、船旅らしい緩やかな時間の流れを感じます。 ふと窓外に目をやると、いくぶんうねりはあるけど風がない、不思議に滑らかな海面でした。夕方になると今度は右舷後方の夕焼けが素晴らしい色合いで、ブリッジからお客様に向けて「きれいな夕焼けがご覧になれます」という放送もあったほど。多くの方が茜色に染まる南太平洋を楽しんでいらっしゃいました。
著者紹介 高橋 敦史 旅行媒体を主とするフリーランスの編集ディレクター・紀行作家・フォトグラファー。国内温泉旅行から海外のバックパッカー旅行、リゾート、豪華客船などまで経験豊富。写真雑誌『デジタル写真生活』元編集長であり、同誌ではディレクションから撮影・執筆も担当、平易な解説で支持を得る。現在では機内誌や旅行雑誌での海外ルポや編集長業を中心に活動し、温泉宿や旅先写真術、エッセイなどの連載も。また、クルーズ写真家として雑誌『Cruise Traveller』『クルーズ』などへ寄稿、ナショナルジオグラフィック単行本『世界の船旅』に写真提供。2014年ワールドクルーズより飛鳥IIの写真教室講師を務め、以後毎年ロングクルーズに乗船している。 上智大学文学部新聞学科卒、1972 年東京都生まれ。