横浜出港から一夜明け、飛鳥IIは紀伊半島を右舷側に見ながら航行を続けていました。可航幅の狭い友ヶ島水道を抜けて神戸港に入港したのは予定通りの午後2時。船内に続々とお客様を迎え入れるなか、キャビンフロアの通路にお客様の荷物がポツポツと置かれた様子を見て、つい昨日の高揚が少し遠くのことに感じられるような、そんな懐かしい気持ちになりました。
パームコートでウェルカムドリンクを楽しまれた後は、いよいよ出港の時。プロムナードデッキから勢いよく投げ込んだ大量の紙テープは、岸壁をカラフルに彩り、船体が離岸した後も名残惜しそうにお客様の手と陸とを引き止めていました。空に目を向けると、旅のはなむけに放たれた風船が、柔らかい風に乗って夕日に染まり始めた空をどこまでも高く飛んでいきました。
夜にはお客様が揃ったこの記念すべき日に旅の安全を祈ってアスカプラザで鏡開きが行われました。操船中の堤船長に代わって場を取り仕切るのは高木副船長。そしてサプライズゲストとして御年100歳という船内最高齢のお客様もご登壇されました。掛け声に合わせていざ鏡開き! お酒は飛鳥IIのロゴの刻印が入った枡に注がれ、お客様に盛大に振る舞われました。