フィヨルドを入っていって、行き止まったところがガイランゲルの集落です。ざっと数えてみると200ほどの家やビルが見えます。集落の脇に大きな滝があり、途中から集落の真ん中を流れフィヨルドに注ぎ込んでいます。 背後には雪に覆われた山が控え、前にフィヨルドの水が静かに輝いています。狭い平地には黄色の花も咲いています。秘境の観光地として、知る人ぞ知るポイントのようですが、ここはまさに地上の楽園です。巨大な自然の中に人間が溶け込んで生活している美しい光景です。「ガイランゲルには牧師は要らない。自然が神だから」…船内放送で浅井船長が先哲の言葉を紹介していました。 静かに停船していた飛鳥IIは自力で180度回船して帰途につきます。復路は船尾でフィヨルドの中に飛鳥IIが描く航跡を見ながら、多くの峻岳や滝を再確認するように眺めていました。
著者紹介 水島 和實 東北大学卒業。会社員を定年退職後に写真を撮り始め、桜、紅葉、滝などの風景を中心に撮影。2002年世界一周クルーズ、2003年アジアグランドクルーズ、2004年ハワイ・アラスカグランドクルーズ、2005年オセアニアグランドクルーズ、2006年アジアグランドクルーズ、2007年オセアニアグランドクルーズ、2008年世界一周クルーズ、2010年アジアグランドクルーズに「飛鳥II」写真教室講師として乗船。 本フォトエッセイの連載は今回で7回目となる。 ■写真集/ ■その他/ 「滝 永遠との出会い」 「ワンダーフォト」主催 ラビー八重洲写真教室講師