目覚めてすぐバルコニーに出てみると、目前にベニスが迫っている。急いでスカイデッキにあがったのは、6時10分すぎ。ベニスの街とその向こうの海、海の向こうのイタリアまでが俯瞰できる。立体地図を見ているようだ。 飛鳥Ⅱがサンマルコ運河に入ると、運河に沿った中世そのものの建物が立ちあがって、ゆっくりと後方へ流れ去っていく。 日の出は5時35分だが、あいにくの曇り空で時々小雨が降る状態。街を低空飛行で眺めているような高さにあるスカイデッキはこの航海中一番の寒さ。 サンマルコ広場に接近すると、ナポリから「ジノリ宮殿特別コンサートと花の都フィレンツェ3泊4日」のランドツアーに出てベニスに到着した一行が手前の橋の上で手をふっているのが、とても小さく見えた。こちらも手をふって応える。 写真はサンマルコ広場を通過後、着岸するマルティマ埠頭に向かうジュデッカ運河を通航中の飛鳥Ⅱのスカイデッキ。
著者紹介 青木 勝 1944年生まれ。東京工芸大学卒業後、スポーツニッポン新聞東京本社を経てフリーに。70年、日本航空嘱託契約カメラマンとして飛行機を撮りはじめる。航空雑誌、カメラ雑誌などに、飛行機写真を連載、写真展開催などで飛行機の魅力を広め、独自の飛行機写真の確立と発展 に努める。「2000年 世界一周クルーズ」、「2004年 南極・南米ワールドクルーズ」、「2009年 世界一周クルーズ」に乗船。(社)日本写真家協会会員、(社)日本旅行作家協会会員